「カヤックフィッシング やめようかな~」
「「カヤックフィッシング始める前にカヤックフィッシングの現実を知りたい」
…そう考えて、今このページを開いたあなたの気持ち、痛いほど分かります。
水面を滑るように進み、陸からは届かないポイントで大物を狙う。あの非日常的な高揚感に憧れてカヤックフィッシングを始めたはずなのに、いつからか「億劫だ」「もう疲れた」と感じるようになっていませんか?
また、カヤックフィッシングを始めたいけれど、周りにカヤックフィッシングを辞めた人がいてカヤックフィッシングの現実を知りたいと思っている人もいると思います。
この記事は、
- カヤックフィッシングをやめるべきか真剣に悩んでいる方
- カヤックフィッシングをやめたものの、少しだけ後悔や不安が残っている方
- カヤックフィッシングを始める前にリアルな情報を知っておきたい慎重な方
過去の私と同じように、カヤックフィッシングとの向き合い方に悩むすべての方へ向けて書きました。
筆者自身、カヤックフィッシングにどっぷりハマり、一時期はその準備の大変さに辞めそうになることもありましたが、今もカヤックフィッシングを楽しんでいる一人です。
また、筆者の知人では残念ながらカヤックフィッシングを辞めてしまった人もいます。
だからこそ書ける、カヤックフィッシングのキラキラした部分だけではない”リアルな情報”を詰め込みました。
この記事を最後まで読めば、あなたが後悔しないための判断基準が明確になり、次のステップへ進むための不安もきっと解消されるはずです。
カヤック・SUPフィッシングでのジギングやキャスティング釣行がメイン!
ウェーディングもたまにします!
YouTube チャンネル
カヤックフィッシングをやめた人の10のリアルな理由

なぜ、あれほど楽しかったはずのカヤックフィッシングをやめたくなるのでしょうか。多くの経験者が口を揃えて言う「やめた理由」があります。きっと、あなたも「これだ…」と頷くものがあるはずです。
理由1:準備と片付けが想像を絶する重労働だった
カヤックフィッシングは、水に浮かんでいる時間だけが本番ではありません。その前後に重労働が待ち構えています。
私はカヤックフィッシングの準備と片付けに約3時間(釣行前:1時間、釣行後:2時間)かけています。特に、夏場は準備と片付けがかなりしんどいです。全く釣れなかった時の片付けはさらに地獄です(笑)。
- 車への積み込み・積み下ろしだけで疲労困憊:20kg~30kg以上あるカヤック本体を、車の屋根まで持ち上げる。朝一番、まだ薄暗い駐車場で一人、汗だくになりながら格闘する。この時点で、すでに体力は削られてしまいます。
- 帰宅後の「塩抜き洗浄」と乾燥の手間:楽しい釣りが終わっても、安らぎは訪れません。カヤック本体はもちろん、パドル、シート、魚探、衣類など、海水に触れたもの全てを真水で洗い流す「塩抜き」作業。これを怠ると、大切な道具はあっという間に錆びてしまいます。洗浄後も、巨大なカヤックを乾かす場所の確保に頭を悩ませる日々です。
理由2:時間的制約が厳しすぎる「1日仕事」という現実
「休日の朝、2~3時間だけサクッと釣りへ」
そんな甘い幻想は、カヤックフィッシングの世界では通用しません。
- 釣行時間より移動・準備・片付けのほうが長い:準備に1時間、釣り場までの移動に1時間、現地での準備に30分、片付けに30分、帰宅に1時間、そして自宅での洗浄・片付けに1時間…。実際に釣りをしている時間よりも、その前後の時間の方が圧倒的に長いのです。
- 「丸一日を捧げる」覚悟:「ちょっと午前中だけ釣りしよう」が成立しない結果として、カヤックフィッシングに行く日は「丸一日を捧げる」覚悟が必要になります。家族との時間が減ったり、他の用事が何もできなくなったりと、次第に生活への負担が大きくなっていきました。
私も子どもが生まれてからはカヤックフィッシングに行く機会がかなり減りました。家族との時間を最優先にした上での余った時間が自分の趣味の時間です。カヤックフィッシングは準備・片付けを含めると丸1日使ってしまうので、家族がいる人にとってカヤックフィッシングを始めるのはハードルが高いです。
私は平日に家事・育児等のやるべきことをしっかりやった上で、カヤックフィッシングに行っています(笑)。家庭がある人であっても、家庭と趣味が両立することができれば、カヤックフィッシングを楽しむことができますので安心して下さい。
理由3:思ったより釣れない…「浮かんでるだけ」で終わる日々の繰り返し
SNSや動画では、カヤックの上で大物を掲げる華やかな姿が溢れています。しかし現実は、ノーヒットで終わる「ただ浮かんでいただけの日」もあります。もちろん自然が相手なので当然ですが、あれだけの労力をかけた結果がゼロだと、心が折れそうになる瞬間があることを理解しておいた方が良いでしょう。
私はオカッパリからのルアーフィッシングから釣りを始めてカヤックフィッシングに移行しました。オカッパリよりも釣り人のプレッシャーが少ないオフショアなら簡単に魚が釣れるだろうとカヤックフィッシングを始めたものの、最初は釣れない日もありました。
魚群探知機なしで釣りをしていた頃は釣果が乏しかったですが、魚群探知機を使ってポイントを把握して釣りをするようになると釣果が伸びてきたので、カヤックフィッシングをこれから始める人は最初から魚探を装備して釣りをするべきです。
魚群探知機の購入に約5万円の費用がかかりますが、魚群探知機がないと目をつぶって釣りをしている状態のようで、オフショアでは魚群探知機がないと安定的に釣果を上げるのは難しいです。
筆者が使っているホンデックスの魚群探知機は約5万円でGPS機能まで付いているのでおすすめです!
理由4:安全へのプレッシャーと恐怖心
水の上では、すべてが自己責任。このプレッシャーは、陸っぱりの比ではありません。
海上では天候が急変することもあるので、釣りを始めた時は海況が良くても、突然海況が悪くなることもあります。
- 天候急変の恐怖と「帰れるか?」という不安:沖で少し風が強くなっただけで、心臓がバクバクする。「本当に無事に岸まで戻れるのか?」その不安は、釣りの楽しさをいとも簡単に上回ります。天気予報を過信できない海の怖さを、身をもって知りました。
- 再乗艇(セルフレスキュー)への自信のなさ:万が一、沖で転覆(チン)した場合、自力でカヤックに復帰する「再乗艇」が必須スキルです。練習はしていても、「荒れた海で、本当に一人でできるのか?」という自信のなさが、常に心の片隅にあります。
理由5:体力・体格的な限界(漕ぐ、運ぶ、担ぐ)
向かい風や潮の流れに逆らって漕ぎ続ける筋力。重いカヤックを運び、車に載せる体力。加齢に伴う体力の低下でこれらの行為が身体に堪えるようになってきたためにカヤックフィッシングを辞める人もいます。
筆者は安全にカヤックフィッシングを楽しむために日頃から筋力トレーニングをしています。ある程度の体力がないと沖から岸に戻れなくなってしまうリスクがあるからです。
カヤックフィッシングをする際のパドリングでは主に背筋や肩の筋肉を使用するため、これらの部位を重点的に鍛えています。
足漕ぎカヤックの場合は、ペダルドライブを使用して漕ぐことになるので、脚の筋肉を鍛えるとより早く漕げたり、より遠くのポイントまで行くことができるようになります。
筋トレの効果を高めるために、筋トレした後はプロテインを摂取することを推奨します。
理由6:金銭的な負担「初期投資だけで終わらない沼」
カヤック本体だけでなく、魚探、ロッドホルダー、フラッグ、ウェアなど、安全と快適さを求めると出費はかさむ一方です。いわゆる「艤装(ぎそう)」の沼にハマり、気づけば軽自動車が買えるほどの金額を投じていた…なんて話も珍しくありません。
理由7:保管場所の問題(特にマンション・アパート住まい)
全長3m以上あるカヤックは、まさに「巨大な置物」。一軒家ならまだしも、マンションやアパートのベランダ、狭い物置では保管が非常に困難です。レンタルトランクルーム等もありますが、利用料金が月額数万円するのでコストがかかってしまいます。
筆者はマンション暮らしですが、カヤックを部屋に運ぶのがかなり大変ですし、カヤックがベランダを占領しているので洗濯物を干す時にカヤックが邪魔になってしまっています。
理由8:一緒に行く仲間がいない「孤独な戦い」
安全面を考えても、仲間との釣行が理想です。しかし、予定を合わせ、同じ熱量で続けてくれる仲間を見つけるのは簡単ではありません。一人での釣行が続くと、モチベーションを維持するのが難しくなっていきます。
筆者も昔はカヤック仲間と一緒に釣行していましたが、それぞれ家庭を持ったことでお互いの時間を合わせて釣行に行くことが難しくなり単独釣行になっています。
理由9:出艇場所の減少やルールの厳格化
近年、マナーの問題やトラブルの増加から、カヤックの出艇が禁止される海岸や漁港が増えています。気軽に行けるフィールドが減っていく現状からカヤックをやめたという人もいます。
理由10:正直、飽きてしまった(他の釣りのが魅力的に見えた)
あれだけの準備とリスクを負っても、手軽な陸っぱりや船釣りの方が釣れることがある。そんな経験が続くと、「自分は一体、何のためにこんな大変な思いを…?」と我に返り、他の釣りが急に魅力的に見えてくるのです。
カヤックだとポイントまで行くのに一苦労ですが、船釣りだと船長が操船してくれてあっという間にポイントに着いて釣りだけに集中できるので非常に楽チンです(船釣りの場合はその分のお金がかかってしまいますが。)。
カヤックフィッシングの重大リスクと事故事例

楽しさの裏側には、命に関わる重大なリスクが潜んでいます。ここでは、目を背けずに知っておくべきリスクと事故事例をご紹介します。
- 転覆・沈没(チン)のリスク:不意の横波や、魚とのファイトでバランスを崩し転覆するケース。低水温期であれば、命の危険に直結します。
- 漂流(風や潮に流される)のリスク:エンジンがないカヤックは、風や潮の影響をダイレクトに受けます。気づいた時には岸から遠く離れ、自力で戻れなくなる「沖に流される」事故は後を絶ちません。
- 他の船舶との衝突リスク:海面に近いカヤックは、大型船や漁船からの視認性が非常に低いです。航路の横断や、船の死角に入ることは絶対に避けなければなりません。
- 実際にあったヒヤリハット・事故事例の紹介:「少し沖に出ただけなのに、急な突風で帰れなくなり海上保安庁に救助された」「魚探のバッテリーが切れ、濃霧で位置が分からなくなりパニックになった」など、経験者なら誰もが一つや二つ、ヒヤリハット体験を持っています。過信は禁物です。
【リアルな費用】初期投資は〇〇万円!やめた時の損失額シミュレーション

カヤックフィッシングを始めるには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。筆者の経験を基にしたリアルな金額と、もしやめた場合の損失額を計算してみましょう。
最低限始めるための初期費用一覧
項目 | 費用目安 | 備考 |
カヤック本体 | 100,000円~ | 足漕ぎタイプは高額になる傾向 |
パドル | 10,000円~ | 軽量なものほど高価 |
ライフジャケット | 10,000円~ | 桜マーク付きを推奨 |
魚群探知機 | 30,000円~ | もはや必需品。上を見ればキリがない |
艤装品 | 20,000円~ | ロッドホルダー、フラッグ、シート等 |
カートップキャリア | 30,000円~ | 車載に必須 |
合計 | 200,000円~ | ここからさらにウェア代などが加わる |
上記の初期費用に加え、交通費(ガソリン代)、消耗品、艤装のアップデート費用などが継続的にかかります。
もし1年でやめたら?中古売却額と損失額のリアルな計算
仮に25万円の初期投資をしたとします。状態にもよりますが、中古品として売却した場合、購入額の50%~60%程度で売れれば良い方です。
- 売却額:250,000円 × 60% = 150,000円
- 損失額:250,000円 – 150,000円 = 100,000円
これに維持費を加えると、10万円以上の損失が出る可能性があると覚悟しておく必要があります。
【やめた後】カヤックと道具、どうする?損しない処分方法まとめ

やめる決意を固めた後、最大の課題はこの巨大な道具たちをどうするか。少しでも損をしないための処分方法をまとめました。
- 方法1:中古釣具買取専門店に依頼するメリット・デメリット
- メリット: 手間が少なく、一括で引き取ってもらえる。
- デメリット: 買取価格は安めになる傾向。
- 方法2:メルカリ・ヤフオクで個人売買するコツと注意点
- メリット: 専門店より高値で売れる可能性が高い。
- デメリット: 梱包・発送の手間、個人間トラブルのリスクがある。大型商品は「直接引き取り」を条件にするのがおすすめ。
- 方法3:ジモティーで近所の人に譲る
- メリット: 梱包・発送の手間がない。無料で譲るならすぐに引き取り手が見つかることも。
- デメリット: 売却には向かない場合がある。
- 高く売るためのポイント
- 徹底的に洗浄する: 見た目の綺麗さは査定額に直結します。
- 付属品を揃える: 購入時の説明書やパーツは全て揃えましょう。
- 明るい場所で写真を撮る: 傷や補修箇所も正直に撮影し、信頼性を高めることが高値売却のコツです。
カヤックの次に何始める?元カヤッカーにおすすめの「次の釣り」

カヤックフィッシングをやめても、釣りをやめる必要はありません。あの労力とリスクを経験したあなただからこそ、他の釣りの魅力がより深く分かるはずです。
- 「ウェーディング」「SUPフィッシング」:カヤックほど大げさでなく、しかし陸っぱりにはない機動力が魅力です。
- 「レンタルボート」「ミニボート」:エンジンの力で快適に移動し、釣りに集中したいならこちら。費用はかかりますが、準備・片付けの手間は激減します。
- 「ショアジギング」「地磯」:原点回帰。カヤックで培った潮を読む力やポイント選びの知識は、陸っぱりでも必ず活きます。
それでも始めたい人へ。後悔しないための3つのチェックリスト

ここまで読んでも、「それでもカヤックフィッシングに挑戦したい!」という情熱を持つあなたへ。後悔しないために、この3つだけ自問自答してみてください。
- チェック1:あなたの体力と時間は本当に大丈夫?→ 30kgの米袋を車の屋根まで持ち上げ、休日は丸一日潰れる生活を続けられますか?
- チェック2:保管場所と運搬手段は確保できている?→ 家族の同意は得ていますか?近隣に迷惑をかけませんか?
- チェック3:デメリットを理解し、安全投資を惜しまない覚悟があるか?→ 安物のライフジャケットで妥協しませんか?天候が悪化したら、勇気を持って引き返す判断ができますか?
この問いにすべて「YES」と答えられるなら、あなたはカヤックフィッシングを楽しむ資格があります。
まとめ:カヤックフィッシングをやめるのは逃げじゃない、賢明な判断です
最後に、この記事の要点をまとめます。
- カヤックフィッシングは準備・片付け・時間・費用・安全面で大きな負担が伴います。
- やめた後の道具は買取業者や個人売買で処分できるが、ある程度の損失は覚悟する必要があります。
- やめる決断は、他の釣りの魅力を再発見するきっかけにもなる。
やめるか悩んでいるあなたへ。
無理に続ける必要はありません。一度離れてみて、客観的に自分と向き合う時間も大切です。その決断は、決して逃げではありません。
すでにやめたあなたへ。
大変な労力とリスクを乗り越えてきた経験は、無駄にはなりません。その決断に自信を持って、次の楽しい趣味を見つけてください。
これから始めるか悩んでいるあなたへ。
この記事で紹介した「現実」を直視し、それでもなお魅力が上回るのであれば、ぜひ挑戦してみてください。ただし、安全への投資だけは絶対に惜しまないでください。
筆者はこれらのことを考えた上で、カヤックフィッシングを始めて今も継続して楽しんでいます。
カヤックフィッシングにはそれなりの負担や覚悟が必要ですが、筆者にとってはそれらを上回る楽しみがあります。自分でパドルを漕いでポイントを探して狙い通りに魚が釣れた時はこの上ない喜びがあります!
この記事が、あなたの後悔しない一歩に繋がれば、これほど嬉しいことはありません。